The CAG operator who received Medal of Honor
どうも、中途退職自衛官です。
先回の書き込みの最後にデルタフォースの隊員の名誉勲章(Medal of Honor)受賞の話を書きましたが、早速、米国陸軍が受賞セレモニーの様子をYoutubeにて、ライブで流していました。
セレモニーに参加しているメンバーを聞くと、この勲章と軍隊に対する米国の向き合い方が理解できます。
大統領が述べていますが、受賞者のペイン曹長はアフガニスタンの作戦で敵の手りゅう弾によって、足に重症を負い、治療を受けた回復させた後、2年も経たないうちにレンジャー・コンペティションで優勝しています。
余談ですが、大統領がジョークを言える雰囲気もいいですね。(日本じゃ無理でしょう)
回復したとはいえ、足の重症を負った後にレンジャー・コンペティションで優勝するなんて、やはり人並み外れた体力と能力の持ち主なのでしょう。
そして、名誉勲章の受賞。
「すごい」としか言いようがありません。
大統領が紹介していますが、受賞するきっかけとなった作戦では、1名の隊員が亡くなっています。
自分もこの作戦があった当時、隊員死亡の話を聞いたので、覚えています。
最近はYoutube等で、受賞セレモニーを見ることが可能なので見てしまいますが、見るたびに(大抵生還して受賞する隊員は作戦で仲間を失っているため)、歳のせいか目頭が熱くなります。(老化ですね)
作戦の様相については、本人が語っているこちらのビデオのほうがイメージしやすいかもしれません。
2012年にペイン曹長が優勝した時の映像がありました。
普通にインタビューに答えてますね。
Special Operation Commandと所属となってますけど、普通に考えてどんな部隊から来ているかは予想できますし、こういった広報に積極的なところは自衛隊も見習ってほしいです。
ちなみに、日本だとデルタフォースってよく言ってますが、陸軍(自分の知り合いの中)では、Combat Applications Group (CAG)と言う名前を使用していました。初めてCAG(キャグ)聞いたときは、何のことか知らなくて質問してしまいました。
動画の中で彼らは、「兵隊として必要な基本的なスキルをマスターすることの重要性」を語っています。
どれだけ武器や、装備がいいものであっても、基本的な能力や知識がなければ、それらを有効に使用し、敵に勝つことはできないでしょう。
最新の装備にばかり目が行きがちですが、強い兵士は者がなくとも、最良の状態でなくとも勝つことのできる兵士だと自分は思います。(強くなったと勘違いしてします)
今回、この記事を書いていて、もう自衛官ではありませんが、基礎的な体力と知識の大切さ、(曹長の負傷からの復活から)目標に対する貪欲さの重要性を再認識しました。
一般の中年オヤジですが、目標に向かって努力を続けようと思います。
ありがとうございました。
毎年、9月11日が来ると思い出すこと。
今日は雑記的になってしまいますが、今日思ったことを書きます。
https://www.nytimes.com/2020/08/13/arts/design/september-11-memorial-light-canceled-coronavirus.html
今日は9月11日、19年前の今日、アルカイダによって、アメリカの航空機4機がハイジャックされ、2機がニューヨークのワールドトレードセンター、1機が国防省(ペンタゴン)、最後の1機がペンシルバニア州のシャンクスビル付近に墜落しました。
この日になると、いつも当時の記憶、(下宿でテレビを見ながら、寝ようとしていた状態)を思い出します。
当時の記憶がある方は同様だと思いますが、テレビでライブ中継されていたので、2機目がツインタワーに突っ込んでいく光景、タワーが崩れ落ちる光景を忘れることができません。
実際に予想もしていない出来事であり、本当に起こっているのか信じられず、当初は映画の映像を見ているようでした。
当時、その週末から米軍基地内で仕事の予定がありましたが、米軍基地は封鎖されたため、仕事は全てキャンセルされました。
9/11以前は、自衛官の身分証明書で米軍基地に出入り可能でしたし、確か2~3名程度エスコートして、米軍基地の中に入ることも可能でした。
この日以降、そんなことはできなくなってしまいました。
9月11日が来るたびに、この日の記憶が蘇り、この日の出来事がなければ、自分の人生や自衛隊での職務はどれくらい違っていたのだろうと考えてしまいます。
決して、後悔や憤りがあるわけではありませんが、見ることのなかったもう一つの人生や世界はどのようなものっだったのだろうと、思う時があります。
この日の出来事がなければ、きっと自分は海外の任務へ行くことも、15年以上群で勤務することも、他国の軍隊とこんなに関わることも、なかったかもしれません。
当時も同様だったかもしれませんが、現在もコロナの影響で世の中の生活様式等が大きく変化し、元にはきっと戻ることはないのでしょう。
この変化に逆らうことなく、順応して生きていくことが、人間の宿命なんだと、自分は勝手に思っています。
この日の出来事で亡くなった2977人の被害者の方は、自分の意志と反して19年前に命を落としました。
ビルの中に取り残された人たちを救出しようと、現場に入っていった消防士等の人達も同様でしょう。
自分も、その時期を知らないだけで、自分の寿命をまっとうするか、自分の意志と反して事故や病気で、ある日人生を終えるのでしょう。
そのように考えると、自分は完璧ではなくとも、より良いと考えられる人生を過ごしたいと、いつからか考えるようになりました。
残された時間は誰にもわからないし、知ったとしても時間をお金で買うこともできません。
であれば、自分が正しいと思う選択をしようと考えるようになりました。
そう考えるうちに、25年以上自衛隊で勤務しましたが、退職することにしました。(いつかは退職するとは自分でも予想してましたけど)
後悔は全くしていません。(今のところ)
後悔しても、他の国のように、戻る(再入隊する)ことも出来ませんし。
自分は、一般の方が自衛隊に興味をもってもらう、現役の自衛官の方には特殊作戦に関して興味をもってもらい、志のある方には是非、挑戦してもらいたいと思っています。
自分の経験上、やって後悔したことよりも、やらずに後悔したことは大抵記憶しています。
人は歳をとりますし、そのタイミングを逃したら、2度と機会が巡ってこないことも多々あります。
自分は自衛隊に入ったら、定年までいなければならないと考えたことはないですし、「定年までいなさい」と人に強要する気もありません。(やめといて、言えるわけがありません)
自分は、もし訪問者様に自衛隊や群に対する興味があるならば、しっかり情報収集をして、準備をし、実際に挑戦して自ら確かめていただきたいです。
全ての人に自衛隊が合っているとは思いませんが、集団生活ができる人ならば問題ないのではないかと思います。(体力は鍛えればなんとかなります)
思ったことを書いていたら、9/11の話から、なぜか「自衛隊入隊の勧め」のようになってしまいました。
取り留めなく、申し訳ありません。
また、話は変わりますが、アメリカでは9月11日にトランプ大統領が名誉勲章を授与するそうです。受賞者はデルタフォースで初めて生還した状態で受賞する隊員です。(簡単に言うと作戦で戦死していないということです)
ここから、読んだ記事の内容を書くと長くなるので、またの機会に書きたいと思います。
本当に取り留めなくなっていますが、読んでいただき、ありがとうございました。
特殊作戦群を理解するためのヒント(出版物編)#1
こんにちは。仕事と学業に追われ、なかなか記事がアップできない中途退職自衛官です。
前回は「特殊作戦群って?」というテーマで、特殊作戦群に関する公式な情報、自分の経験から特殊作戦群を理解するためのヒントについて書きました。
retiredoperator.hatenablog.com
今回はさらに特殊作戦群、または特殊作戦を理解するためのヒントを紹介したいと思います。
概要、一般的な情報にはなりますが、特殊作戦群を多くの方に理解していただき、特殊作戦群への勤務志願者、陸上自衛隊への入隊希望者が増えることを願っています。
今回の目次です。
- 初代群長の著書
- 「瀕死のライオン」
- トム・クランシーの著書
1. 初代群長の著書
部隊に関する情報を直接書くことはできませんが、以前にも述べたように世の中にはヒントとなるような情報が存在します。
インターネットの情報以外にも本として、特殊作戦、または特殊作戦群について紹介されています。
特殊作戦群について、直接的に書かれている出版物としては、初代群長が書かれたいくつかの著書が挙げられます。
この本は初代群長の荒谷卓氏が自衛隊を退職されたあと、明治神宮至誠館館長をされている時に書かれたものです。
本の内容ですが、著書として出版する際に、一般の方向けに新たに書かれた部分がありますが、実際に自分が本を読んでみるとその内容は、自分たちが群長の精神教育で受けた内容がそのまま記されている部分が多くありました。
荒谷群長が精神教育で配られた紙の資料を未だ保管していますが、その内容はほぼこの本の中に書かれています。
また、初代群長として、どのような想いで日本に新たな部隊を創られたのかが書かれています。
特殊作戦隊員でなくとも、自衛隊員としてどうあるべきか、日本人としてどうあるべきかということを考えるきっかけになるかもしれません。
2.「瀕死のライオン」
所属していた方の著書ではありませんが、麻生幾氏の「瀕死のライオン」です。
麻生氏は「外事警察」「宣戦布告」等、映画やドラマ化された小説でも有名です。
内容はフィクションですが、実際に取材もされており、著書の世界観は(現実ではありませんが)良いヒントになると思います。
主人公以外の登場する人物には、実際に存在するモデルがおり、その描写を読んでいると「この登場人物は、実際にいた個別の隊員の、どの隊員ことを書いている」ということが(自分には)判ります。
フィクションの作品ですが、特殊作戦の世界観や、実際の隊員に関係する内容が書かれているので、すべてが想像や憶測で書かれた作品とは全く違います。
自分は「瀕死のライオン」を持っていましたが、人にあげてしまったため、現在は持っていませんが、また読んでみようと思っています。
3.トム・クランシーの著書
既に紹介した、荒谷群長の著書には米国陸軍特殊部隊(グリーンベレー)への留学の話が出てきます。
日本の同盟国であるアメリカの特殊部隊は、日本の特殊部隊に大きな影響を与えています。
その米国陸軍特殊作戦部隊を理解することは、自衛隊の特殊作戦部隊を理解する多大なヒントになります。
日本では少ないですが、海外には多くの特殊作戦部隊に関する著書が出版されています。
日本語に訳されたもので、米国陸軍特殊部隊の概要と資格課程の内容が書かれたものが、トム・クランシー氏の著書になります。
なぜか日本での題名が「素顔のスペシャル・フォース」。自分的には「素顔の」はいらないですね。
「レッドオクトーバーを追え」や「パトリオット・ゲーム」等の有名な映画の原作を書いているトム・クランシー氏が、グリーンベレーを取材して書いています。
任務、部隊編成、各特殊部隊員の役割等が書いてあり、理解しやすいと思います。
ちなみに写真に写っているものはアメリカ版で、上下巻はなく、1冊で購入できます。
英語が大丈夫な方には、英語版をお勧めします。(今はコロナで無理ですが)アメリカに行かれる方は「Half-price Books」等の本屋だと、より安く買えます。
とりあえず、今回の情報やヒントとなる出版物紹介は以上の3つで終了したいと思います。今後、日本語に翻訳されていないものも含めて、また紹介していきたいと思います。
ありがとうございました。
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特殊作戦群って?
どうも、中途退職自衛官です。
ブログに書きたいこと、訪問者様、特に現役の自衛官、自衛隊への入隊を迷っている一般の方に知っていただきたい情報はありますが、どういった順番で書いたらいいのか、非常に迷っています。
また、書いていいこと、書けないことがあり、言葉を選びながら記事を書いていますので、時間がかかってしまいます。
学業、仕事、ブログの掛け持ちをしておりますので、更新の遅さはご了承ください。
今回の目次です。
- 自衛隊の公式な説明では
- 特殊作戦群に関する噂と真実
- 特殊作戦群を知る(理解する)ためのヒント
今回は以上の3点について書きたいと思います。
1.自衛隊の公式な説明では
特殊作戦群については、あまりにも情報開示がないため、インターネット等でも様々な情報、噂が飛び交っています。
自分の個人的な意見になりますが、行動阻害勢力、敵国への情報保全は必要ですが、あまりにも自国民や自衛隊内への過度の情報保全は、自衛隊という組織の透明性の確保、広報、最終的には隊員募集へ影響があると考えます。
現在は、陸上総隊が創設され、なくなってしまった中央即応集団のHPには以下のようにあります。
この短い一文のみです。
自分が退職する以前は、情報公開基準上、「所在地」、「人数」、「群長の階級と氏名」のみが公開可能でした。(今も同じ基準だと思います)
これでは、「何をしてる部隊なんですか?」と言われてしまいますし、「何をしているのかよくわからない部隊」に所属することを希望する人が少ないのは当然だと思います。
2.特殊作戦群に関する噂と真実
実際、他の部隊の人達に会った際、様々な質問を受けたりしましたが、的を得ている質問もあれば、かなり噂が独り歩きして実際とかけ離れた情報を基にした質問もありました。
やはり、的を得ている質問をされる方は多分、一般的な特殊作戦の知識、特に「欧米の特殊作戦部隊がどのようなことをしているか」を知っている方だったのだろうと思います。
実際とかけ離れた話は、過去に所属していた人や、選考検査(セレクション)を受験した人たちの話を聞いて、その話が人伝いに拡張されて、すごい(噂)話になっていることが想像できます。
噂話は聞いてて面白かったですが、自分はしっかり否定しておきました。
情報の少なさと、部隊名の怪しさから、様々な憶測と間違った情報が流れているのは、確かだと思います。
ハッキリと言えるのは、「特殊作戦群は陸上自衛隊の部隊であり、(他の部隊と同様に)各種法令を遵守しなければなりませんし、所属隊員も皆、陸上自衛隊の一般的な部隊から来た普通の日本人です。」
ここで自分が述べた「普通の日本人」という意味は、所属している隊員は皆、入隊前、または群所属前から特別に訓練を受けているわけではなく、(生まれ持った身体能力の差はあるかもしれませんが)自ら目標を定め、地道な努力を続け、結果を出してきた(元々は普通の)どこにでもいる日本人であるということです。
生まれつき、何でもできる人など存在しません。ただ皆、必死に目標へ向かい前進することをやめなかっただけなのです。
ですから、特殊作戦群に所属したいと考える、または所属することに興味のある人は、挑戦する前から「絶対に無理」とは考えず、誰でも選考検査に挑戦する価値はあると思います。(そこでの経験や会える人も、その後の人生に有用だと思います)
情報が限られていたとしても、自ら情報を集め、その情報の中から正しい、または正しいと考えられる可能性が高いものを見つけ出し、自ら妥当性のある目標を立てて努力することも、自衛官、社会人として生きていくうえで必ず役に立つと思います。
3.特殊作戦群を知る(理解する)ためのヒント
直接的に、どのような任務を、どのような地域でしているとは書くことはできません。
しかしながら、他国の特殊作戦部隊がどのような任務を付与され、どのような作戦を実施しているのかを考えれば、自ずと概要は見えてくると思います。
自衛隊が自ら情報を開示しない以上、国内において日本語での正確、確度の高い情報は他国の特殊部隊に比して、本当に少ないと思います。
特に日本語の情報は、世界中で英語によって流れている情報に比べると極少数です。
英語ができる方は、インターネットを通して英語ベースの情報から情報を得ることを、お勧めします。
インターネット上に散在している他国の軍の戦略、学術論文、軍教範の情報から、特殊作戦、特殊作戦部隊の概要が理解できれば、日本の特殊作戦部隊の姿も想像しやすくなると思います。
例として、以下の米陸軍のSpecial Wafare Center and School (SWCS)の機関紙を載せておきます。
https://www.soc.mil/SWCS/SWmag/archive/SW3004/30-4_Oct_Dec_2017_vWeb.pdf
全体に目を通してくださった方は、わかったと思いますが、このように英語ですが群の情報(説明や画像)が普通に掲載されています。
「まだ英語は無理」という方は、参考文献が信頼できる日本語のインターネット情報でも良いと思います。
もし特殊作戦部隊に興味があったり、いつか特殊作戦群に所属したいと考えるのであれば、早い段階(できれば今日)から英語の使用を始めて、準備しておくことも、お勧めします。(間違いなく使う時が来ます)
一般社会でも同様だと思いますが、「英語を使える、使えないの差」は、英語を使用する機会が多いほど圧倒的に大きくなります。
「英語」に関しては、また別の機会に詳しく書こうと思います。
ありがとうございました。
自衛隊の留学について(後編)
先回の自衛隊の留学について(前編)の続きです。
数年前から陸上自衛官の留学として、増加していたのは、V-22(オスプレイ)のパイロットと整備士の留学だと思います。
新たな航空機を導入、運用するために多くの航空科の自衛官がアメリカへ留学しています。
自分も、もう少し続けていれば、自衛隊のオスプレイからパラシュート、ファストロープを使って降りる経験ができたかもしれませんね。
自分の回想はさておき、今回の本題に入ります。
目次
- 留学するために必要な試験は?(後半)
- 語学試験終了後の教育課程
- 管理人(中途退職自衛官)がした留学
1.留学するために必要な試験は?(後半)
軍の戦略大学や一般の大学院へ留学する際には、TOEFL等のスコアが必要な場合があります。TOEFLに関しては、有名なテストですし、公式のホームページ等で調べることができるので、今回は割愛します。
自分もTOEFLは受験したことがありますが、試験時間の長さ(4時間半)に心が折れそうでした。
TOEFLの内容が気になる方は、下記のリンクからどうぞ。
次は、OPIです。
Oral Proficiency Interview (OPI)は、英語で行われる口述試験です。
オスプレイの陸自パイロットの方々も留学する際には、このOPIを受け、合格していると思います。
口述試験は、対面(Face-to-Face)方式と電話(Remote)方式があります。
違いは読んで字のごとくなのですが、対面方式は試験官と顔をあわせて試験を受験しますので、口の動き、顔の表情を見ることができますが、電話方式は電話で受験しますので、音声のみで受け答えすることとなります。
この違いには理由があって、パイロット等、無線等(音声のみ)でやり取りしなければならない状況が強いられる教育課程に行く学生は電話方式を合格しなければならないことになっています。
対面方式を受験する日本からの留学生は、DLIの英語教官課程の学生くらいですかね。
他にもあったら、すみません。(自分はそのほかに聞いたことがありません)
普通に考えて、母国語以外で話す場合,、音声だけ聞き取るより顔が見えたほうが簡単ですよね。
顔見て会話するより、電話で話すほうが難しいと思います。
通常、日程的に可能であれば、日本国内でECL Testを合格した後、日本出国までにOPIの試験を在日本米国大使館で受験します。
ECL Testについては、前編に説明がありますので、どうぞ。
retiredoperator.hatenablog.com
出国までの日程的に不可能であれば、米国のDLIに到着後、OPI受験となります。
OPIのスコアの付き方は、「聞き(listening comprehension)」と「話す(speaking ability)」に分かれていて、それぞれ、数字の1~5で評価されます。(各スコアの上位にある場合は、1+、2+等「+」という評価が付きます)
実際のOPIスコアの説明が見たい方はどうぞ。
https://www.dlielc.edu/testing/opi_test.php
各教育課程は「聞きが2、話すが1+」のように、OPIの基準スコアを定めていますので、示されたスコアを取得することにより、晴れて入校が確定します。(教育課程によっては健康診断も必要あります)
2.語学試験終了後の教育課程
DLIにて、すべての英語試験に合格した後に、晴れて本来の留学目的である教育課程に入校していきます。それぞれの学校や課程教育は(当たり前ですが)教育内容や目的が違いますので、体力検査等、入校先でさらに必要な試験を受験し、合格しなければなりません。
自衛隊の留学先は座学、または技術の習得(操縦、整備等)がメインとなる留学が大多数であるように感じます。
他国の留学生の留学先は幅広く、自衛隊が留学させていない海軍のSEALSや、陸軍のレンジャーなど、体力的にハードな留学先にも送り出されています。
3.管理人(中途退職自衛官)がした留学
自分が行った留学先は、自衛隊の留学先としては少数派の体力系でした。しかも、OPIに合格しないと入校させてもらえない、かなりレアな入校先でした。
自分の場合、(初回の留学で)幸運なことにOPIを日本で合格していたので、DLIでは授業が終わると毎日ジムへ行くか、プールへ行って泳ぐか、基地の中を走っていました。
2回目以降の留学でもOPIが必須の教育を受けましたが、1度OPIのスコアを取ると(入校への基準を満たしていれば)、再受験の必要はありませんでした。
自分の留学したどの教育課程も、教育開始(初)日の朝6時から体力テストがあり、基準以下の隊員(アメリカ人含む)は、初日から入校できずに、元の部隊へ帰らされるものでした。
意外と示された基準に合格できずに帰る隊員がいて、初めての留学では驚きました。(入校したくないか、また来ればいいと思っているんでしょうね)
自分の留学について、今回は詳しく書きませんが、また機会を見つけて、いつかもう少し詳しく書こうと思います。今回はご了承ください。
ありがとうございました。
自衛官の留学について(前編)
一般的な自衛隊に関する情報は、他のブロガーさんや、YoutuberさんがYoutubeに挙げていますので、自分は少し違った情報を知ってもらいたいと思い、今回は自衛隊における留学について書こうと思います。
出典 防衛日報デジタル
写真は、アラスカで実施されている米陸軍の上級山岳課程に参加した隊員の写真のようです。背景の山と空がきれいですね。(自分も死ぬまでに一度はアラスカへ行ってみたいと思っています)
「アメリカ軍に留学したい!!」というモチベーションだけで自衛隊入隊することには、個人的におすすめしませんが、現役の自衛官、または入隊を検討している方に「こんな選択肢もありますよ」ということを知っていただきたいという思いから、今回書こうと思います。
自分はアメリカ軍にしか留学したことがないので、これから書くことはアメリカ軍への留学を前提として書かせていただきます。(実際に米国以外の留学も存在します)
目次
- どんな教育・学校へ留学できるのか?
- 誰が留学できるのか?
- 留学するために必要な試験は?(前半)
1.どんな教育・学校へ留学できるのか?
もう退職していますので、自分の個人的な知識と経験から話します(変わっている部分もあると思います)が、米軍の戦略大学や一般の大学・大学院(ジョン・ホプキンス大学やマサチューセッツ工科大学等)、米軍の各職種学校の教育課程等です。
自衛隊として必要と考えられる知識の習得や技術の取得を目的としているため、受講する教育を自分で選べるといった話は聞いたことはありません。
教育枠を自衛隊としてお金を支払って(計画的に)取って、その教育枠に自衛官や防衛省職員を送り出しています。
自衛隊として、留学計画を作成していますが、アメリカ側が急に枠(空席)があることを自衛隊に連絡してくるので、いきなり計画外の留学機会の話がやってくることもあります。
2.誰が留学できるのか?
幹部自衛官(士官)、陸曹(下士官)、または防衛省職員(事務官、技官等)が留学する資格を持っていると思います。
しかしながら、留学する教育課程や学校により、階級、職種とその特技(以前にも述べたMOSですね)等の指定が存在し、併せて語学試験等もあり、実際はだれでも行けるものではありません。
例を挙げると、階級でE-5からE-7(自衛隊で言う3曹から2曹)のみ入校可能とか、ヘリのパイロットの教育課程には、ヘリのパイロットの資格を持った隊員のみが入校できるといったようなものです。
留学する学校や課程教育によって、それぞれ違いがあると思いますが、全国の部隊から募集されたり、職種や特技等から選考され、(希望するか確認があると思いますが)留学生へ指定される等、いくつかのパターンがあると思います。
陸士(兵)は、留学できない等の規則を見たことはありませんが、米国留学で履修する教育はほぼ陸曹以上の入校規定になっていると考えられます。
陸士(兵)は多数が任期制隊員ですし、陸上自衛隊の英語課程には(階級上)履修できないことも、留学できない、または留学させない理由であると思います。
実際のところ、陸士の留学について、自分は見たことも聞いたこともありません。
3.留学するために必要な試験は?(前半)
まず留学する前に、一度日本でEnglish Comprehension Level (ECL) Testという英語のテストを受けて基準の点数を取らなければなりません。
100点満点のテストで、留学する教育課程によって、80点、75点等の基準点が決まっています。時間は1時間程度だったと記憶しています。(間違っていたら、すみません)
方式はマーキングシート方式で、試験官(米国大使館職員)に答え合わせしてもらいます。
ECL Testの細部を知りたい方はは下記のリンクから(サンプル問題もあります)
https://www.dlielc.edu/testing/ecl_test.php#
国内でECLに合格して、やっとアメリカ行きが決まるわけですが、なんとアメリカ到着後、もう一度ECLに合格しなければならないのです。
ですから、日本でギリギリの点数しか取る余裕がない人は、アメリカに行ってから合格できず帰国する可能性もあります。
ちなみにアメリカに入国してから受けるECLは、指定のPC上で行われ、(日本で行う)マークシート方式と違い、回答者が答えた問題の成否によって、次の問題が難しくなったり、簡単になったりします。
つまり、正解していると難しくなり(点数がもらえ)、間違えると簡単な問題になる(点数がもらえない)という仕組みです。やけに簡単に感じるということは、回答を間違えている可能性が高いということです。
早ければ、10分程度で「終わりました」とPCに言われてしまうので、マークシート方式のテスト時間を想定していると、かなり驚きます。
通常は以上の試験(ECL)を受け、合格すれば、留学の目的であった教育課程に参加できると思います。
しかしながら、学校や教育課程によって、さらに試験や資格等が必要となります。
例えば、海外の大学や大学院へ留学した経験がある方はご存じだと思いますが、TOEFLやIELTS等の基準スコアが、自衛官または、防衛省職員の(大学・大学院等)留学にも必要となります。
また、墜落等、生命の危険が伴う教育課程(パイロット等)には、Oral Proficiency Interview (OPI)と呼ばれる、口述(面接)試験があります。
OPIと語学試験終了後の教育課程については、自衛官の留学について(後編)で詳しく書きたいと思います。
ありがとうございました。