特殊部隊における格闘技術について
どうも。中途退職自衛官です。
以前の投稿記事で質問を募集したところ、「特殊部隊の格闘技術と、その必要性について知りたい」という、ご質問をいただいたので、今回は特殊部隊における格闘技術について書きたいと思います。
目 次
1.軍隊における格闘技術の必要性
2.自衛隊における格闘
3.特殊作戦群の格闘
4.海外の特殊部隊の格闘
5.部外からの格闘講師
1.軍隊における格闘技術の必要性
特殊部隊に限らず、軍隊、自衛隊において格闘技術は重要視されていると思います。
その理由として、過去の戦争、軍事作戦に比べて、現在では非対称戦、対テロ作戦等、市街地での戦闘、室内における戦闘の機会が増えることによって、脅威、敵との距離が近く兵士が敵と至近距離で戦う(近接戦闘)場面がより多く想定されるためです。
兵士は基本、ライフル、拳銃等の武器を携行していますが、何らかの理由によって使用できない場合も想定され、徒手による格闘技術を基本として、自衛隊を含む世界の軍隊が訓練を行っています。
2.自衛隊における格闘
以前は、徒手格闘と銃剣格闘という2つのカテゴリーに分けられ、型の練習や、検定を行っていましたが、現在では徒手技術・武器技術というカテゴリーで訓練体系も大幅に変更されています。
自分は新しくなった格闘を、通常の部隊で経験していないので、どのレベルの検定(型のみ、試合形式等)を毎年受験しなければならないのかわかりませんが、以前より近代的な防具、模擬の武器もあり、実際のボディーアーマー(防弾ベスト)等の装備を着用して検定や訓練をしているのを見たことがあります。
自衛官は、どの職種の部隊であっても、格闘訓練を実施し、検定を受験し、(体力検定のように)示された級の合格を求められているはずです。
3.特殊作戦群の格闘
特殊作戦群であっても、格闘訓練はありますし、検定もありますが、通常の部隊のものとは全く同様のものではありません。
自衛隊の格闘技術を基礎として実施しますが、作戦を実施する隊員に必要と考えられている目標設定に沿って構成されています。
特に初代群長である荒谷卓氏は、武道の達人であり、その影響を大きく受けており、通常の自衛隊格闘と違う部分もあります。
初代群長は現在、三重県に「熊野飛鳥むすびの里」という団体を創設し、様々な活動、講習を行っています。
動画で、刀を振っていますが、これらは実際の真剣だと思います。
一歩間違うと大怪我ですね。
荒谷群長からは、格闘(武道)を教えていただく機会もあり、真剣を振らせていただいたこともありますが、初めての時はその鋭さと重さから、すごく緊張したのを覚えています。
いきなり本物の刃物で訓練することは、非常に危険ですので、訪問者様がもし訓練したくなった場合には、初めはトレーニングナイフなどの訓練用品を使用することをお勧めします。
日本でも購入できるものがあるので、紹介しておきます。
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訓練用ナイフには、ゴムまたはプラスチック製のものがありますが、金属製のものの方が、取り上げたりする際にも曲がることがなく、より実際的な訓練が可能になります。
初代群長から、日本古来の武道の理念、考え方、精神、マインドセット等、格闘技術だけではなく、現代の戦闘にもつながる、大切なことを教えていただきました。
4.海外の特殊部隊の格闘
海外の特殊部隊でも、格闘訓練は実施されています。
特にアメリカでは、かなり前から体系化され「Combative(コンバティブ)」と呼ばれています。
また、米国特殊部隊では、Special Operations Combative Program(SOCP)と呼ばれ、陸軍特殊部隊以外の部隊でも実施されています。
こちらは、海兵隊のForce Reconの動画です。
海外の特殊部隊も、対テロ作戦等において、市街地での戦闘、室内における戦闘、近接戦闘を想定しているため、通常の部隊より格闘を重要視し、訓練を行っています。
彼ら隊員の中には、日本の武術、武道、武士道等に非常に興味を持つ隊員が多くおり、それらについて様々な質問をしてきたり、実際に自国内で習っていたり、稀には日本に来て習っている隊員もいます。
5.部外からの格闘講師
特殊部隊では、専門家等を講師として招き、より高度な技術や知識を学ぶ機会があったりしますが、格闘においても同様に部外から元プロの格闘選手や講師を招いて講習を受講することがあります。
米国陸軍特殊部隊(第1特殊部隊群)では、ホイス・グレーシーをゲストとして迎えて、MMA形式の競技会を実施したりしています。
この大会とは別ですが、ホイス・グレーシーは沖縄での格闘競技会にも招待され、来日しています。
特殊作戦群でも、元プロの格闘家や、様々な技術を持った講師を招き、講習を受けています。最近、Youtubeにも登場している、稲川義貴氏もその一人です。
個人の名前を挙げるつもりはありませんでしたが、稲川氏本人も初代群長との関係について言及されているので、紹介することにしました。
荒谷氏、稲川氏の2人は、様々な活動、講習等されていますので、ご興味のある方は参加されてもいいのではないかと思います。
ご質問等あれば、コメント等頂けたら幸いです。
今回もどうも、ありがとうございました。